「声帯結節」になりました
今年の夏はいきなり酷暑で始まった。
元々「寒暖差」には弱いと言うのに、行き先によってエアコンの効きがまるで違うものだから、どんなに注意していても体調が崩れ気味になってしまう。乾燥と湿気の断続で声の調子が維持できない。で、6月の最終週だったか7月の頭、まあとりあえず部屋の掃除でもしておくかと思い立つ。
最初はマスクをしてあちこちのほこり取りなどしていたのだが、その内暑くてマスクを外してしまった。今にして思えばそれがいけなかった。
7月6日前後、「喉」が痛みだし「咳」が出始める。7月5日の「本番」までは普通にしゃべれていたのだから、その後急速に何かが進行したのだろう。
「痛み」は鼻孔と喉が奥で交わる辺り、いわゆるアデノイド周辺。
「痛み」と「咳」以外の症状が無い事にもっと気を回せば良かったのだが、まあいわゆる「風邪」の時の痛みと同じだったからとりあえず近所の内科に行く。
この時はまだ「こういう時は早めに対処しておかないと」くらいにタカをくくっていた。
「風邪らしいんですが」
「ここんとこ多いんですよ。エアコンが急に入ったからでしょうねえ」
「じゃあまあそういう事で」
と「消炎剤」を出してもらう。
処方された薬を飲む。が、あんまり効かない。
そうこうしている内に「痛み」は「気管全体の痒み」に変わり、「咳」が、今まで経験した事の無いレベルに進行した。急に奥からはい上がるように気管が痒くなってヒューヒュー鳴ったと思ったら爆発的に咳が出て止まらなくなってしまうのである。
かつてない個所が炎症している感じ。それで眠れない夜が2、3日続いた。
すでに「声」が変わり始めて焦る。来週早々の本番までに治そうと思ったら今の内に積極的な治療をしなくてはならない。しかし、この時点でもまだ私は何かの「一時的な症状」だと思っていた。
7月10日、ここで失敗の2つ目。「一時的な症状」なら原因を叩こうと思って「呼吸器科」に行ってしまったのだ。この時点で「発声」を診てくれる耳鼻咽喉科的に行っていたら、事態はもう少し何とかなっていたかもしれないのだが後の祭り。
結果的に、自分が一番困る患部を1週間近く放置してしまう格好になってしまった。
「風邪ではないような気がするんですが……」
で、呼吸器系の検査。
今にして思えば全ての検査が「気管支」を向いていて「声帯」は全く無視されていた。そもそも「呼吸器科」には「声帯」を診る装置が無いのかもしれない。
結局「咳ぜん息」と診断されてその系統の薬を処方され、それから約4日間「対咳ぜん息」用の吸引剤を吸い続けた。それでとりあえず「気管支」方面の「痛み」は収まったのだが「声」が戻らない。
しゃべれない事は無いのだが高音が伸びず音程が不安定。時々かすれるような異音が混じる。とにかくいつもの自分の声ではない。
それは今までに経験した事の無い「治らなさ」だった。
私は新陳代謝にだけは自信があって、風邪だろうが炎症だろうが10日以上長引いた経験が無い。それですっかり読み違えてしまったのだ。
このままでは来週早々の「本番」に間に合わない。背中の下の方から嫌な感じがはい上がってきた。
(続く)
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